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    フィロタスの生涯(2)

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      大遠征アレキサンダーの野望―ギリシャからアジアへの旅 (Newton mook―Visual science series)
      吉野 美耶子,マイケル・ウッド
      JUGEMテーマ:読書


      このブログの検索文字を調べてみると、ヘファイスティオンとカッサンドロス
      の名前は毎回かなり上位になっているのですが、フィロタスの名はランクイン
      していません。でもいろいろな本を読んだり、自分で考えたりしているうちに
      私の心の中でフィロタスの存在はかなり大きなものとなり、今では好きな歴史
      上プラス映画や小説に出てくる登場人物のベスト3に入っていると思います。
      それだけ自分にとって感情移入しやすい人物というわけです。感情移入しやす
      いので、いろいろな本から適当に書いてあることを拾ってきて、自分の理想と
      する人物にイメージを作り上げているところがありますので、このブログは歴史
      の研究書

      フィロタスはアレクサンドロス大王の父フィリッポス2世、あるいはその前の
      時代から活躍していたパルメニオン将軍の長男として生まれます。パルメニオン
      はフィリッポス2世より20歳ほど年齢が上、フィロタスが生まれた時には40歳を
      過ぎていたようです。彼には3人の息子、上から順にフィロタス、ニカノール、
      ヘクトルがいて、3人とも東方遠征に参加しています。

      アレクサンドロスとフィロタスの年齢差はどれぐらいあったのか、はっきりと
      したことが書いてある資料はありません。弟のニカノールもアレクサンドロス
      の親友だったと書いてあるので、弟が同じ年くらい、フィロタスは2,3歳年上
      だっとというように想像しています。ヘファイスティオンと幼馴染であったと
      も書かれているので、そんなに年齢差はなく、彼らは皆子供の頃から顔なじみ
      そしてミエザで一緒に学んでいたと思います。

      東方遠征では弟ニカノールがかなり大きな隊の指揮官をしていて度々名前が出て
      きます。3番目の弟ヘクトルの役割については不明、おそらくまだ10代、初陣か
      それに近いぐらいだったのでしょう。父パルメニオンは副将軍でアレクサンドロス
      に次ぐ第2位の地位、弟も大きな隊を任されている、そしてフィロタス自身も側近
      の騎兵隊指揮官、さらに捕虜の護送や偵察といった仕事もしています。東方遠征の
      最初の頃はフィロタスの一族が軍隊の重要な部分を握り、さらに彼は危険な任務
      を任されて次々とこなしていき、人生の中で一番華やかな絶好調の時期だったと
      思います。

      けれど、何もかもうまくいっていたフィロタスの人生にも次第に暗い影が差して
      きます。最初に弟のヘクトルが死に、次にニカノールが死ぬ、特にすぐ下の弟の
      死はフィロタスに大きな衝撃を与えたと思います。父の今までの功績があったと
      はいえ、若くして重要な地位を任された弟にライバル心を感じながらも、父や弟
      がよりいい形で戦えるよう危険な偵察を率先して行っていた、この時代に敵が支
      配する土地を少人数で行動することは実際の戦闘以上に危険だったかもしれませ
      ん。そうした危険を覚悟で戦ってきたフィロタスにとって、家族や父の期待を背
      負って今まで活躍していた弟ニカノールの死はそうとうショックだったように思
      れます。

      フィロタスは部下に対しては寛大で気前のよい人間だったけれど、同じ側近の仲
      間に対しては傲慢でみんなに嫌われていたと書かれています。捕虜になった女の
      前で、自分の手柄を自慢し、アレクサンドロスなど大したことはないと罵ったこ
      ともあるようです。でも彼らの家族の活躍を考え、そして弟2人を失い父も遠く離
      れた場所に左遷された寂しさ心の空白を思うと、部下に寛大に物を与え、酔って
      自分の自慢話や仲間の悪口を言ってしまうのも仕方がないように思われます。

      そしてある日、アレクサンドロスの身の回りの世話をしていた小姓達が暗殺を計画
      していたことが発覚し、フィロタスもそれを耳にしていながら誰にも告げなかった
      という理由で告発されます。誰もが羨む高い地位にいて、しかもみんなに嫌われて
      いたフィロタスに対して、それまで一緒に学び、戦ってきた仲間達は残酷でした。
      弟2人は死に、父は遠くにいる、血縁関係のある者や今まで親しくしていた者も自分
      が罪を問われることを怖れて彼をかばったりはしません。最後の望みをかけてフィ
      ロタスは一緒にミエザで学び、幼馴染でもあったヘファイスティオンに助けを求め
      ます。

      その時ヘファイスティオンのとった行動を本で初めて知った時のショックは忘れら
      れません。それまで私はずっとヘファイスティオンはフィロタスの命を助けること
      はできなかったけど、心の中で助けたいと思っていたと信じていました。でも史実
      は逆で、ヘファイスティオンはフィロタスを残酷な拷問にかけ、自白させている、
      それでも彼の口から王暗殺計画でパルメニオンの関与を聞き出すことはできなかった
      と書かれていました。

      昔の仲間をどんな気持ちで拷問にかけたのか、そしてその時のフィロタスの心は
      どちらも今の私にはまだ想像し、推測して書くことはできません。それを書ける
      ようになるのはもっとずっと先だと思っています。拷問という残酷な行為がどの
      ように行われたか、今はまだ想像することもできません。ただその中でフィロタス
      は最後まで父の関与を否定した、その事実に深い感動を覚えます。彼は最後まで
      父の名誉を守ろうとした、おそらく父もすぐ殺されることは予感したでしょう。
      自分の愚かさや今までの軽率な態度をどれほど悔やんだことか、それでも彼は
      自らの罪を認めてしまい、大の男が泣き叫ぶほどの拷問を受けながらも決して父
      のことはしゃべらなかったそうです。

      激しい苦痛と死の恐怖の中、フィロタスの精神を支えていたものはなんだった
      のか、ただひたすら父と先に死んだ弟達の名誉を守りたい強い意志だったと思い
      ます。そしてもう1つ、彼の脳裏にかって学んだミエザの風景、都から遠く離れ
      た静かな場所での厳しい訓練と勉学の日々、自分の未来と力を信じ仲間と夢を
      語り合った岩の上を吹く風の匂いや小川のせせらぎを感じ取れた時、彼は自分を
      苦しめ殺そうとする仲間すら許すことができた、そう思いたいです。

      彼らの心の中で、ミエザは楽園にも聖地にも等しい場所、2300年の時が過ぎても
      変わらない場所に立ち、その思いを強くしました。




      ステラ * 旅行 * 09:43 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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