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    チャプター27(2)

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      ジョン・レノンを殺した男 上 (1) (扶桑社ミステリー シ 23-1)
      ジョン・レノンを殺した男 上 (1) (扶桑社ミステリー シ 23-1)
      ジャック・ジョーンズ
      JUGEMテーマ:映画


      「チャプター27」2回目を見てきました。今回は「ライ麦畑でつかまえて」
      も日本語訳ですがしっかり読んでいたので、本との比較もできてまた違った
      視点で見ることができたと思います。

      前回は映画館の場所がよくわからなくて(前に来たことがあったのに)時間
      ギリギリでしたが、今回は余裕があったのでロビーに貼ってある新聞や雑誌
      の批評などもじっくり読むことができました。結構有名な作家や批評家の方
      が、少し前に公開された「ロンリーハート」も含めてジャレッドの演技を高
      く評価していました(嬉!)でも、映画館に入っている人の数はあまり多く
      ない、というかガラガラでした(涙)宣伝が少ないこと、殺人犯の心理に焦点
      をあてた映画で派手なアクションや美しいシーンがなく退屈しそう、というイ
      メージが強いからでしょうか?

      私がジャレッドのファンということもありますが、この映画は確かに派手な
      アクションやわくわくするような展開、美しいロマンスなどいわゆる普通に
      映画に期待するような場面はあまりありません。結末だって最初からわかって
      しまうし、最後まで見てなぜ犯人があのような事件を起こしたかがわかって
      すっきりするというわけではありません。「ライ麦畑でつかまえて」が大きな
      事件やすっきりするようなラストがなく、淡々と3日間のできごとを主人公の
      僕が語っているのと同じように、この映画も3日間のできごとが主人公チャップ
      マンの行動とセリフ、そして語りで淡々と綴られているだけです。でもそれで
      ものすごく退屈かというとそうでもなく、主人公の心の動きや葛藤が鮮やかに
      写し出されるので、結末や途中の展開はわかっていてもドキドキして見入って
      しまいます。

      映画は「ライ麦畑〜」からの言葉をかなり取り入れているので、最初見た時に
      は公園のアヒルの話などよくわからなかった部分がああそれは本のあの部分に
      あったとすごく納得できました。チャップマンがどこまでその本の影響を受け
      てなぞるように行動していたかわかりませんが、映画では実にたくみに本の内
      容が入れられていて、主人公の行動というものに説得力を与えていました。こ
      の映画でジャレッドは製作の総指揮もしていますが、チャップマンの感覚まで
      も再現しようとしていて、ハワイに住んでいた人間が感じるであろう冬のニュ
      ーヨークの寒さや大都会の猥雑さ、ダゴタハウスを最初見た時におとぎの国の
      建物のようだと感じながら待つ時間が増えるにつれそれが当たり前のものに
      変わっていくあたりなど、本当に彼の目線になって景色が映し出されているこ
      とに驚きました。挿入される音楽、麦畑や公園のシーンなども無駄やチグハグ
      なところがひとつもなく、ジャレッドの全体を見る目の確かさというものを強く
      感じました。

      この映画を見るまでは、本当にこうした犯人は狂信的な人間で自分とはまったく
      かけ離れていると思っていました。でも、計算されつくされた感覚や演技、太って
      肉体まで変えた存在感などで目の前に出されると、この犯人のしたことは確かに
      許せないけどこの感覚は自分にもわかるという場面がいくつもあります。彼は
      拳銃を最初から持っているので、おそらく始めからそのことを考えていたので
      しょう。けれどもニューヨークで滞在する3日間の中で、ライ麦畑のホールデン
      の行動をなぞりながらも、どこかで自分を止めてくれる存在を求めていたように
      思えます。タクシーの運転手にアヒルのことを話したり、知り合ったファンの女
      の子に旅に出ようと誘ったり、カメラマンの男に一緒に待っていようと懸命に話
      しかけたり・・・どれか一つでもうまくいっていれば彼は犯罪など犯さずにすん
      だかもしれません。やめようと自分を抑える心と、何もかも放り出してどこかへ
      行くか全く違う自分に生まれ変わりたいと願う欲望のせめぎあいで、結局彼は
      とりかえしのつかない犯罪を犯してしまいます。

      彼が犯罪を犯す原因が結局なんだったのか、映画でははっきりとは語られていま
      せん。ただ観客に状況を示して、後は自分で想像し感情をつけて考えろと言って
      いるようです。2回目に今度は本を読んでから見たのですが、それですべてがわ
      かってすっきりしたかというとそうではなく、かえってやっぱりわからない、こ
      のチャップマンを犯罪に駆り立てたものはなんだったのかと頭を抱えてしまうこ
      とになりました。

      憧れが大きいほど失望したショックははかりしれない、チャップマンは心に大き
      な傷を抱えていてそれをふさぐ何かを必死に探していました。彼のハワイでの日常
      生活は愛する妻や母がいてものすごく不幸というわけではなかったと思います。
      それなのに日常を忘れさせる小説や音楽に夢中になって、その言葉が自分ひとり
      だけに語られているように思わずにはいられなかった、こういう感情は自分にも
      強くあり、それが高じるあまり犯罪を犯してしまうなら、他人事ではないと思い
      ました。私もお気に入りの俳優があんまり好きでない映画に出ていたり、好きな
      小説家が、どうしてこの人がこんなこと書くの!なんていう文章を見るとかなり
      落ち込む方です。まあその場合しばらくその人から離れて自分をコントロールし
      ますが、それができなくなるほどのめり込んだら怖いと思いました。

      2008年になって初めて見た映画「チャプター27」この映画はいろいろなこと
      を考えさせられる、という点からもぜひ多くの人に見て欲しいです。

      ステラ * 映画 * 17:09 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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