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    エンジェル(2)

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      エンジェル (ランダムハウス講談社 テ 2-1)
      エンジェル (ランダムハウス講談社 テ 2-1)
      エリザベス テイラー
      JUGEMテーマ:映画


      フランソワ・オゾン監督の映画「エンジェル」2回目の鑑賞をしました。前の
      日に「チャプター27」を見たばかり、しかもこちらもかなり印象の強い作品
      なのでできれば1週間ほど時間をあけて見に行きたかったのですが、どちらも
      来週からは上映時間が変わって見れなくなる心配があったので見に行きました。
      両方とも去年の12月に1度見ているのですがどうしてももう1度見たいと思わせる
      作品、そして去年見た映画のベスト5に入るだけでなく、生涯見た映画の中でも
      ベスト5に入るのではないかと思われるほど印象が強い映画でした。なるべく
      ネタバレをしないように前半だけを中心に感想を書きます。ただ私の場合は見方
      が特定の人物の視点に偏っていて、あまり公平に全体を語ってはいないので、そ
      れを考慮して読んでください。

      「エンジェル」、前回は「300」のステリオス役だったマイケル・ファスベン
      ダーが主人公エンジェルの恋人役で出演するということで見に行きました。そ
      してもっぱら恋人で夫になるマイケル君演じる画家のエスメばかり見ていました。
      でも2回目の今回、エスメ以上に彼の姉でありエンジェルを崇拝して秘書になって
      生涯彼女を支えるノラの方に強く感情移入してしまって、彼女の視点で映画を見
      てしまいました。

      姉ノラから見れば、弟エスメはよくわからない絵を描いていて経済的に自立でき
      ない厄介者です。彼女自身は詩を書いていて、おそらく姉弟の伯父が絵画や詩を
      志しているのなら芸術の都へ行きなさいと資金を出してくれたのでしょう、2人
      でイタリアを旅行します。ところが弟のエスメはハンサムなのをいいことにイタ
      リアで伯爵夫人に手を出し大変な騒ぎを起こしてしまい、宝石を売って帰りの旅費
      にあてたと後にノラはエンジェルに話しています。

      パーティーの会場でノラは前から憧れていた作家のエンジェルに紹介してもらえ、
      感激のあまり彼女の前で跪いて手に口付けをします。ところがそこにまた弟のエス
      メが現われ、エンジェルに皮肉たっぷりのことを言います。
      「せっかく私がこんな有名な作家と知り合えたのに、どーしてあなたは余計なこ
      と言うの!いくらめかし込んだってどうせ売れない貧乏画家なんだから、わかった
      ような顔をして芸術について語らないでよ。そうやって伯爵夫人を誘惑したんで
      しょうけど、これ以上私の邪魔しないで!」
      ノラの立場で見ると、前回あれほど夢中になって恋焦がれたエスメに対してかなり
      厳しい目で見ているので自分でも驚きました。

      本が売れて流行作家になり、昔憧れていた大きなお屋敷「パラダイス」を買い取っ
      たエンジェルのところに、ノラは自分の書いた詩を持って訪ねていきます。もち
      ろんエンジェルは他人の詩など興味を持つようなタイプではないのですが、それ
      でもノラは必死の思いで精魂込めて書いた詩を彼女に見せます。この場面でまず
      涙が出ました。どれほどの覚悟で作品を見せてもエンジェルにそれが伝わるわけ
      がない、興味なさそうな顔でペラペラめくっています。さらにノラはエンジェル
      の個人秘書になることを申し出ます。これだけの強烈な個性を持つ人間の側にい
      たら周りの人間の個性など簡単に潰されてしまう、秘書になどなったらもう詩人
      にはなれなくなるのにと叫びそうになりましたが、ノラは彼女に魅かれて恋焦が
      れるあまり自分の才能を殺す選択をしてしまいます。

      エンジェルはノラの思い入れよりもハンサムな弟のエスメの方に一目ぼれして
      いますから、とりあえずノラを秘書に雇ってさっそく理由をつけてはエスメに
      会いに行きます。彼の住んでいるオンボロアパートと乱雑な部屋、なんだやっ
      ぱり貧乏画家じゃないの、とノラに感情移入して見ているのでエスメへの評価
      は辛口になってしまいます(笑)でも彼はパーティーで着飾った時よりもボロ
      の部屋で画家の質素な服を着ている時の方が魅力的で輝いて見えます。「300」
      のステリオスもパンツとマントだけという実にシンプルな服装だったけど、こ
      のマイケル君は着るものがシンプルであるほど素材のよさが最大限引き出されて
      魅力的に見えるんだな、と思ってしまいました。後の新婚旅行シーンで、エジプト
      やギリシャの遺跡の前でそれらしいコスチュームを身につけているときはどうも
      景色の一部に見えてしまってあまりパッとしなかったです。まあそのシーンは
      エンジェルが新婚旅行の時でさえ自分の世界に浸りきっていて夫のことなどろく
      に見ていないということを伝えたくて監督はわざとエスメを風景の一部に見える
      撮り方をしたのだとも思えますが・・・

      ボロい部屋と質素な服装という彼の魅力が最大限に引き出せるシチュエーション
      の中、あら、私の弟ってこんなにハンサムだったかしら(ノラに感情移入してい
      るので)と段々心が揺れ動いてきます。もちろん映画での主人公エンジェルは
      最初に会った時からエスメに夢中ですのでもう彼のことしか見えていません。絵
      を見せてくれるのですが、いまいち暗い色調の絵ばかりでどうも彼女にはあまり
      いいとは思えない。でも伯爵夫人と浮気したイタリアで描いた絵は許せないから
      それならば最初に見た踏切の絵の方がまだマシ・・・そう思ってそれがいいと
      エンジェルが言ったすぐ後で見せたエスメの笑顔、ここで私は弟だということ
      も忘れて(ノラにとっては)完全に恋に落ちてしまいました。最初見た時はエン
      ジェルと同じ一目ぼれ、そして2回目の今回はそう簡単に好きにはならないと決
      意して意地悪な目で見ていたのに、やっぱりここでやられました。こうなると
      もう恋は盲目でまっしぐら、エスメは今までの自分が好きになる理想の男という
      部分ではかなりはずれていて、浮気もするしナルシストで誠実とは言いがたい
      のだけど、そんなことは忘れて以後のめり込んで見ることになりました。

      エンジェルは積極的に自分を売り込むことをしないエスメにイライラして自分を
      描いてもらった肖像画を持ち出しパーティーの会場でお披露目しようとして、彼
      のプライドを深く傷つけますが出て行く彼を追いかけて強引にプロポーズ、そし
      て二人の新婚生活が始まります。新婚旅行から帰った後、彼は姉のノラがエン
      ジェルに夢中でその二人の方がはるかに絆が深いことが気になってこう尋ねます。
      「僕と姉と二人が同時に君の心に住むことができるのか?」
      「大丈夫よ。パラダイス屋敷はとても広いんですもの」
      ああ・・・彼は部屋の広さを言っているわけではないのに、エンジェルはまるで
      気付いていません。

      こうして始まった2人の、いや姉のノラを入れての3人の生活、エンジェルは
      幸せいっぱいで満足していますが、ノラとエスメはかなり複雑な心境です。特
      にノラの気持ちを考えると切ないです。彼女はエンジェルの原稿を読んで昔の
      作風に戻ったと喜びそれをタイプで打って清書していくのですが、その姿を見て
      涙がボロボロこぼれました。彼女は自分の才能を殺し、報われることのない相手
      に愛を捧げているのだが、それでもタイプで打つ瞬間は至福の喜びに包まれて
      いました。

      戦争が始まり、エスメは志願して戦地に行きます。エンジェルは戦争で二人は
      引き裂かれたと泣き喚きますが、エスメにとっては牢獄のように感じていた
      パラダイス屋敷から抜け出すいいチャンスだったのでしょう。自分はこの広い
      屋敷のどこにも居場所がない、ステリオスのように戦場での名誉ある美しい
      死を望んだかもしれません。けれど神はエスメには美しい死ではなく残酷な
      生を与えて彼をパラダイス屋敷に帰します。ここから先のストーリーを書くと
      完全にネタバレになってしまうので書かないようにしますが、この後の3人の
      残酷な生を全て描ききったところにこの映画の監督、フランソワ・オゾンの
      すごさを感じました。2回目を見て、この映画は自分が死ぬ時に生涯を振り返っ
      て思い出す映画ベスト5に入ると確信しました。できれば映画館の中という
      緊張感の中で、できるだけ多くの人に見て欲しい映画です。

      書き忘れましたが、この3人以外にも出版社のセオや妻のハーマオオニー、
      エンジェルの母や伯母、屋敷で働いている使用人にいたるまでみんな実に
      いい雰囲気を出していて、脇役から見ても完成度の高い映画でした。特に
      ハーマイオニーのセリフは一言一言が皮肉に満ちています。監督は男の人
      なのに、よくぞまあここまで女性心理がわかっていると感心しました。


      ステラ * 映画 * 09:18 * comments(0) * trackbacks(1) * -

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        From 新婚旅行 ランキング @ 2008/09/17 10:54 AM
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