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    カッサンドロス朝マケドニア(1)

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      王妃オリュンピアス―アレクサンドロス大王の母 (ちくま新書)
      王妃オリュンピアス―アレクサンドロス大王の母 (ちくま新書)
      森谷 公俊
      JUGEMテーマ:読書


      アレクサンドロス大王死後の後継者争いでできた王朝、高校の世界史の
      教科書にはプトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリア、アンティ
      ゴノス朝マケドニアの3つが出ています。カッサンドロス朝マケドニア
      というのは教科書だけでなくかなり詳しい参考書でも載っていません。
      でも私は短いカッサンドロス朝の時代に起きた出来事に、歴史の中でも
      とりわけドラマチックで人生を考える重要ポイントが含まれていると思
      ったので、テスト勉強をしている長男のそばに行って詳しく説明しまし
      た。「世界史なんて俺1人で充分できるから(彼も社会が1番の得意科目
      だった)そんなテストに関係ない余計な話をしないでくれ」と嫌がられ
      ましたが(笑)

      「アレクサンドロス3世の父の名前は?」
      「フィリッポス2世、カイロネイアの戦いでギリシャ同盟に勝つ」
      「アレクサンドロスの死後できた王朝の名前は?」
      「プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリア、アンティゴノス朝
      マケドニア、知ってるよそのくらい」
      ここまでは歴史の教科書にも彼のノートにも書いてあります。

      「どうしてアレクサンドロスの死後、部下達が帝国を分割することにな
      ったの?」
      「・・・・・」
      この質問で、歴史好きの高校生でもちょっと困ります。
      「アレクサンドロスの死後、帝国が分割されて部下達が治めるようになっ
      たのは、大きな力を持つ後継者がいなかったから。フィリッポス2世が暗殺
      された時、20歳のアレクサンドロスの他に従兄弟でアミュンタスという人
      がいたけど、彼は謀反の疑いをかけられて殺された。そうやって王家の中で
      ライバルになりそうな人が次々殺されていたから、アレクサンドロスが32歳
      で死んだ時、王族では母の違う兄で知的障害のあったというアリダイオスしか
      生き残っていなかったの」
      「へえ・・・」
      「部下達はとりあえずそのアリダイオスを王にして、まだ生まれていないアレ
      クサンドロスの子が男の子ならその子を王にしようと話し合った。知的障害の
      ある兄か、直系だけどまだ生まれていなくてしかもマケドニア人ではない王妃
      から生まれた子を王にするか、どっちもどっちというわけよ。当然部下達の間
      で激しい権力争いがあった。部下だけでなくアレクサンドロスの母オリュンピ
      アスもその争いに加わっていて、彼女はフィリッポス3世と名前を変えて王位に
      ついていたアリダイオスを殺させた。でもそのオリュンピアスもやがてはマケ
      ドニアの実権を握ったカッサンドロスに処刑されてしまう」
      「フィリッポス3世って、同じ名前かよ」
      「そう、その当時は1人偉い人が出るとそれにあやかって次々と同じ名前を
      つけたり途中で改名したりしていたから。アレクサンドロスの父も兄も同じ
      フィリッポス、だからヴェルギナで発見されたマケドニアの王墓の中で未盗掘
      で一番立派な装飾品が出た墓がどっちのものかわからないで論争が続いている
      の。発見した博士はアレクサンドロスの父のものだと信じて疑わなかったけど
      その後の調べで兄のものである可能性も出てきたのよ。どちらもフィリッポス
      という名前で40歳ぐらいで死んでいて、一緒に葬られていた王妃が20歳位
      で同じエウリディケという名前だから・・・」
      「2世か3世かはっきり書いておけよ(笑)」
      「それは後になって便宜上つけた名前だから、その当時の人は○○3世とか
      言わず、○○王と呼んでいたんでしょう」

      「そんなことはどうでもいいよ。こっちはテストで忙しいんだ」
      「待って、ここからが重要ポイントだから。アンティゴノスがマケドニアを
      統一したのは、この人は部下の孫だからもっと後の時代で、その前にはカッサン
      ドロス朝マケドニアがあった」
      「そんなの教科書に載ってないよ。そのカッサンドロスは何者だ?」
      「フィリッポス2世よりも前の時代からのマケドニアの重臣アンティパトロス
      の長男。アレクサンドロスとほぼ同じくらいの年齢で、東方遠征には参加して
      ないけどプトレマイオスなどとも深い交流があった。彼はアレクサンドロスが
      バビロンにいた時に父の弁護のためにそこまでいって、王の前でみんながペル
      シャ風に跪いて大袈裟な挨拶をするのを見て笑い出し、逆にアレクサンドロス
      を激怒させてしまった」
      「馬鹿だね、そういうのをKYっていうんだ」
      「でもずっとマケドニアに住んでいて、王と部下が友達のように親しく話す
      のを見ていたから驚いたんでしょう。それが原因かどうかは知らないけど、
      大臣アンティパトロス、この人は80歳くらいまで長生きしたのだけど彼は
      死ぬ時長男のカッサンドロスを自分の後継者にはしないで別の部下を選んで
      しまったの。それでもカッサンドロスは自力でその部下を追い出し、マケド
      ニアの実権を握ってついには父の時代から宿敵だったアレクサンドロスの母
      オリュンピアスを処刑した。でもこの時彼はまだ王とは名乗っていない。王
      位についていたのはアレクサンドロスの子供だったから、自分はあくまでも
      摂政として王を支える立場の人間であることを強調した」
      「ふーん」

      「オリュンピアスを処刑した後、カッサンドロスはフィリッポス2世の娘
      の1人、アレクサンドロスとは母が違う妹のテッサロニケと結婚した。そう
      すれば王族の仲間入りをし・・・」
      「空気は読めなくても頭はいいんだ」
      「そして2つの都市を建設した。1つには自分の名前をとってカッサンドレイア
      と名づけ、もう1つは妻の名前からテッサロニキとつけた。アレクサンドロス
      はアレキサンドリアという名前の都市をたくさん作ったけど、彼は自分の名前は
      1つだけにして、王族だった妻の名前から都市の名をつけた。その方が国民から
      反感をもたれにくいからね」
      「でも結局そいつは王になったんだろう」
      「そういうこと。でもその話をするとまた長くなるから」

      ということで、この続きはまた別の日に・・・






      ステラ * 創作 * 09:56 * comments(2) * trackbacks(0) * -

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        コメント

        こんばんはです♪

        >「空気は読めなくても頭はいいんだ」

        に、爆笑です。長男くんナイスです〜♪テストがんばって〜!

        もとい真面目な話、ペルシア人の慣習を笑ったカッサンドロスから
        マケドニア人のプライドの高さと、異民族に対してはかなりな偏見を持っていたことが感じられます・・・。

        自らをバルバロイではないと否定し、ヘラス(ギリシア人とその文化圏)と同化しようとしたマケドニア人、
        その過程で彼らも諸ポリスのギリシア人同様、他国の文化や民族は
        ヘラスよりも劣っているとみなしてしまったのではないかと思われます・・・。
        しかもかつてギリシア人から蔑視されていた存在だった彼らが
        おしもおされぬ圧倒的な軍事力でへラスの盟主となったのですから、
        その自尊心は相当なものだったでしょう〜
        さらにはヘラスにとって長年の因縁の相手だったペルシアを打ち負かしたとなれば、
        もう天狗になって当然ですよね^^;
        被征服民族は奴隷として従属させるのが当然だった時代ですから、
        アレクサンドロスが彼らの風習を尊重して取り入れるなど、
        大多数のマケドニア人にはまったくもって信じられないことだったと思います・・・。
        (軍内でもそれが原因でいろんなごたごたが・・・T▽T)

        だれでも自分が優位に立ちたいもの、自分を他人より高い位置におきたいものです。
        そのために生みだされた根強い差別や偏見を取り去るのはおそろしく難しいことですけれど・・・
        やはり百聞は一見にしかず、実際に会って話し、ふれあえば、
        ああ、自分と同じことを考えてるんだ、同じ人間なんだ、と納得したり、
        分かりあうことができるのだと思います。
        イメージや固定概念だけで相手を判断してはいけない・・・と強く感じます。
        Comment by Phaes @ 2008/07/09 1:36 AM
        Phaesさま、こんにちは

        コメントありがとうございます。
        「空気が読めなくても頭のいいカッサンドロス」
        かなり気になる人物ですので、つい試験範囲を大幅に脱線してしゃべってしまい
        ました。彼のようなマケドニア人優位の考え方、おそらく大部分の部下達も同じ
        だったと思います。民族の違いを超えて新しい秩序を作ろうとしたアレクサンド
        ロスの理想を理解したのはヘファイスティオンくらいでしょう。それでも長年
        一緒に戦ってきたプトレマイオスなどは空気を読んで言いたいことがあっても
        ひたすら我慢、マケドニアから来たばかりのカッサンドロスだけが事情を理解
        せず、王を激怒させてしまったとのでしょう。私は彼こそ大王暗殺の真犯人で
        はないかと睨んでいます。

        テストは終わり、長男は世界史が一番点数がよくて93点でした。でも、教科書
        にでてくる内容を全て覚えて参考書を調べ、一番時間をかけてつきあった科目
        が100点でないので、母としてはちょっぴり不満です。あれだけ詳しく教え
        たんだから、100点とってくれ〜(笑)
        Comment by 管理人 @ 2008/07/09 9:20 PM
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