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    カッサンドロス朝マケドニア(3)

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      王妃オリュンピアス―アレクサンドロス大王の母 (ちくま新書)
      王妃オリュンピアス―アレクサンドロス大王の母 (ちくま新書)
      森谷 公俊
      JUGEMテーマ:読書


      高校生の長男に話した世界史の教科書には載ってない「カッサンドロス朝
      マケドニア」前回の続きです。これは私がいろいろな本を読んで自分のイ
      メージで人物像を創作しているところがあるので、歴史について正確に書
      いているとは言えないです。半分くらいはフィクションと思って読んでくだ
      さい。

      「カッサンドロスにはテッサロニケとの間に3人の息子がいたの。長男が
      フィリッポス、次男はアンティパトロス、そして三男がアレクサンドロス
      という名前だった」
      「なんかみんなどっかで聞いたような名前だな」
      「そう、マケドニア王家では同じような名前をつけることが多いから。アレ
      クサンドロス3世の父がフィリッポス2世で、兄アリダイオスが名前を変え
      てフィリッポス3世になったから、カッサンドロスの長男はフィリッポス4
      世ね」
      「ややっこしい、同じ名前つけるなよ」
      「もっと後の時代になって、教科書にも出てくるアンティゴノス朝マケドニア
      にもフィリッポス5世という名の王様がいるの。つまりフィリッポスという名
      前はマケドニア王家で一番人気のある名前の一つだったのよ。フィリッポス2世
      が活躍したから」
      「でも、フィリッポス2世と3世は親子だけど、カッサンドロスやアンティゴノス
      の子孫は血の繋がりはないんだろう」
      「そういうこと。彼らはフィリッポスやアレクサンドロスと直接血の繋がりは
      ないからこそ、同じ名前をつけて彼らにあやかりたいと思ったのかもしれない」

      本当にカッサンドロスの3人の息子は、当時の有名人の名前をそのままズラリ
      とつけたというような気がします(笑)でも長男フィリッポスはそれでもまあ
      比較的無難な名前ですが、次男のアンティパトロス、三男アレクサンドロスと
      この2人の名前のつけ方がカッサンドロス朝を滅亡に導いてしまったように
      思えてならないのです。

      「アンティパトロスというのはカッサンドロスの父の名前で、祖父の名前を
      もらうというのはよくあることだったけど、彼の場合はそれが悲劇を招いて
      しまった」
      「親子関係がよくなかったからだろう」
      「そう、大臣アンティパトロスは80歳まで現役でずっと活躍していた人だけ
      ど、最後死ぬ時に遺言で長男のカッサンドロスではなく部下のポリュペルコン
      を後継者に指名してしまったのよ」
      「どうして?」
      「アンティパトロスは息子のカッサンドロスが自分の後継者になってマケド
      ニアの実権を握ることはよくないと考えたのね。どんな事情があったか知ら
      ないけど、カッサンドロスは最後の最後で父に否定されポリュペルコンを相
      手に長い抗争を続けなければならなかった。最終的に彼が勝ったけど父に対
      する不満は一生消えなかったと思う」
      「だったら子供に同じ名前をつけるなよ!恨みに思っているんだろう。つけ
      られた方はいい迷惑じゃないか!」
      「そうね。でもアンティパトロスという名前は優れた大臣としてマケドニア
      で有名になっていただろうし、カッサンドロスの心の中には自分を認めずに
      死んでしまった父ともう一度やり直したい、理解してもらいたいという気持
      が強かったんじゃないかな。それで敢えて父と同じ名前を次男につけた」
      「そういう複雑なことを子供に期待しない方がいいと思うけどな。それだと
      絶対歪むぜ」
      「そうかもしれない」

      カッサンドロスがどんな気持ちで次男にアンティパトロスという名前をつけ
      たかはわかりません。でもこの名前のつけ方はまずかったなあと思えるので
      す。いくら最終的に自分が勝って王になったとはいえ、散々苦労してポリュペ
      ルコンを追い払ったのですから、なぜ最初から父が自分を認めてくれなかっ
      たのかと恨むこともたびたびあるでしょう。その苦い記憶が次男の名前を口
      にするたびに蘇ってしまうのです。そして妻テッサロニケの感情はもっと複
      雑です。彼女は血の繋がりはないけどアレクサンドロスの母オリュンピアス
      に育てられています。育ての母を処刑したカッサンドロスとの結婚を強いら
      れ、息子の1人は継母の宿敵で幼い頃から悪口を聞かされていたであろう大臣
      と同じ名前、これでは次男の名を呼ぶたびにいやな記憶が蘇り、無意識のう
      ちに息子につらくあたってしまいそうです。

      「そして三男にはアレクサンドロスという名前がつけられた」
      「それは本当にやめたほうがいいと思うな。比較しろと言わんばかりの名前
      じゃないか」
      「その通り。12歳で殺されたロクサネの子が4世だから、アレクサンドロス
      5世ね。カッサンドロスはともかく、テッサロニケはこの三男のアレクサン
      ドロスをとてもかわいがったらしいの」
      「それは酷いじゃないか!」
      「そう、次男アンティパトロスにしてみればこんな残酷なことはないかも
      しれない。やがてカッサンドロスは60歳くらいで死に、長男のフィリッポス
      が跡継ぎになったけど、彼は王位について4ヶ月後に突然死んでしまうの」
      「暗殺か?」
      「病死と記録には残っているけど、わからないわね。オリュンピアスの呪い
      かもしれないし・・・」
      「呪いなんて非科学的なこと」
      「非科学的だけどオリュンピアスはアレクサンドロスの死もカッサンドロス
      の暗殺だと疑っていたし、最後石打の刑という残酷な方法で殺されているん
      だから、石をぶつけられるたびに呪いの言葉をつぶやいたでしょう。それだ
      け怒りが激しければ呪いは実現するでしょう。カッサンドロスではなく息子
      達にふりかかったようだけど・・・」
      「・・・・」
      「呪いは実現した。フィリッポスが死んだ後、次男のアンティパトロスが
      まだ十代で王位についてテッサロニケが摂政になった。でもそれからすぐ
      アンティパトロスは実の母であるテッサロニケを殺してしまうの」
      「どうして、王になっていたんだろう?」
      「長男のフィリッポスが生きていれば兄弟3人バランスがとれていて仲良く
      やっていけたのかもしれない。でも兄が死んでアンティパトロスが王にな
      った。摂政の母は自分よりも弟のアレクサンドロスの方を遥かに愛してい
      る。いつか自分を亡き者にして弟に王位を継がせるに違いない。そう考えて
      心が安らぐ日など1日もなかったのよ。アンティパトロスとアレクサンドロス
      の2人はその後他の国を巻き込んで激しく争い、どちらも死んでしまった。
      混乱したマケドニアを再び統一したのがアレクサンドロスの部下アンティゴ
      ノスの孫だった。それがアンティゴノス朝マケドニアの始まりね」
      「へえー、兄弟の両方とも死んでしまったわけか」
      「同じ血を分けた兄弟だからこそ、争った時は勢力も同じくらいになり相手
      の行動も読めてしまう。まったくべつの国と戦うより悲惨だったかもしれな
      い。でも、母を殺したアンティパトロスにとって国や王位はもうどうでもい
      いことになっていたかもしれない。弟さえ生まれていなければ、母の愛を
      奪った弟さえ殺すことができれば・・・そんな気持ちでいっぱいだったと思
      う」
      「どっちが先に死んだかわかっているのか?」
      「さあ・・・私はアンティパトロスの方が弟より少しでも長く生きてくれれ
      ばいいと思うけど・・・」
      「どうして?」
      「彼の気持ちはもう弟への憎しみでいっぱいになっていたと思うの。オリュン
      ピアスがカッサンドロスを呪ったように。オリュンピアスの呪いはカッサンド
      ロス朝の滅亡で終わり、アンティパトロスの憎しみは弟の死で終わる。それ
      が一番いいことのように思えるから」

      カッサンドロスが3人の子に別の名前をつけていたら、歴史の教科書には彼
      の王朝名が載ったかもしれません。でもそうはならなかったのは、やっぱり
      呪われていたからでしょうか?世界史の勉強、長男にはテストには絶対出ない
      話ばかりしてしまいましたが、それでもこの科目がテストでも通知表でも一番
      点数がよかったです。

      ステラ * 創作 * 16:10 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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