<< July 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< Fire from heaven 第7章(15) | main | 2008年に見た映画(1) >>

スポンサーサイト

0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    スポンサードリンク * - * * - * - * -

    ハプスブルク家12の物語

    0
      名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) (光文社新書)
      名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) (光文社新書)
      中野京子
      JUGEMテーマ:読書


      「ブーリン家の姉妹」を見て、映画についてはエリック・バナ
      が演じたヘンリー8世やブーリン家の姉妹に対してあまり共感
      できなかったのですが、その映画がきっかけになってその時代
      の歴史関係の本を何冊か読みました。その中でもこの本は文庫
      本サイズで持ち運びにも便利、1つ1つの話が独立していて短
      い時間にも話が読め、かつ登場人物の肖像画もカラー写真で紹
      介してあるのでイメージもわきやすく興味深く読めました。何
      よりも作者の登場人物に対するつっこみが私の感動するツボと
      よくあっていておもしろかったです。

      ヨーロッパの歴史を大きく変えたハプスブルク家、その家系が
      スイスの小さな豪族につながっていたということに驚きました。
      ルドルフ1世という人が偶然神聖ローマ帝国皇帝に選ばれたこ
      とで、この一族は歴史に登場するようになります。「神聖ロー
      マ帝国」というのも世界史の中ですごくわかりにくく、自分の
      中で長い間謎だったのですが、この本の説明ですっきりとよく
      わかりました。神聖ローマ帝国の皇帝というのは、この時代で
      は名誉職みたいなもので、各地で力を持っていた諸侯の中から
      選挙で選ばれ、ルドルフ1世は55歳と高齢であんまりお金も
      なく他の諸侯の脅威にならない(笑)という理由で皇帝になっ
      たようです。そして彼は宿敵のボヘミア王と戦う時にとっても
      卑怯な手を使いますが、とにかくそれでハプスブルク家が繁栄
      する基礎を築いたわけです。

      200年後、ルドルフ1世の5代後のマクシミリアン1世の時
      に、ハプスブルク家はまた大きな転機を迎えます。彼自身ブル
      グント公国のマリアと結婚することで(これは父のフリードリ
      ヒ3世が用意してくれた)莫大な富と財産を手に入れていたの
      で、今度はスペイン王家と自分の息子と娘を結びつけます。ス
      ペインのフアン王子と娘のマルガリータ、フアナ王女と息子の
      フェリペを結婚させ、フアン王子が結婚後半年ほどで亡くなっ
      てしまったので、スペインの領土はすべてフェリペとフアナの
      長男、マクシミリアンの孫のカールが受け継ぐことになります。

      マクシミリアン1世の長男はフェリペ美公と呼ばれていて、名
      前からして女心をくすぐります。実際かなり美男子だったよう
      でフアナ王女は政略結婚でありながらも夫に夢中になります。
      フェリペ美公も最初のうちは美しいフアナに興味を示しますが
      すぐに飽きて他の女に目が移り、フアナはヒステリックになっ
      ていきます。美男子の夫が浮気を繰り返し、妻が精神を病んで
      いくというのはよくあるパターンと思いながらもこの2人の物
      語には心惹かれます。何よりすごいのは2人の間に生まれた6
      人の子供のうち早世した1人以外の5人全員がヨーロッパ各国
      の王や王妃になっているということです。フェリペ美公は26
      歳の若さで突然死に、フアナの精神は完全に崩壊して夫の遺体
      と一緒にスペイン各地をさまよういます。この状況の絵も残さ
      れていますが、なんともドラマチックです。気が狂いさまよっ
      たあげくアラゴン王だった父によって幽閉されてしまうフアナ
      ですが、それでも彼女は母イザベラから受け継いだカスティー
      リャの女王であり、死ぬまで女王の座を手放しませんでした。

      そしてフアナの長男カールは、父を6歳で亡くし母は気が狂っ
      てという状況でハプスブルク家に引き取られブルゴーニュで
      叔母のマルガリータ(フェリペ美公の妹)に育てられます。
      この女性がまたすごい人で、スペインのフアン王子と結婚して
      死に別れた後もう一度結婚して夫を亡くし、その後兄の子を
      ひきとってりっぱに育てます。著名な学者を集めて子供達を
      教育し、そしてカールは両親と祖父母のそれぞれの国と領土
      を全部受け継いで70もの肩書きと広大な国を治めるようにな
      ります。16歳の時にスペインを受け継いでカルロス1世と
      なり、19歳の時に祖父マクシミリアンより継いで神聖ローマ
      帝国のカール5世となります。若くして王位につくという例
      は他にもたくさんありますが、これほど多くの国を受け継いで
      しまうというのも歴史上他にはないでしょう。スペインの黄金
      時代を築いたカルロス1世は、両親がそろっての幸せな家庭
      は知らずに育ち、スペイン黄金時代というのも南米の立場で
      見れば侵略と虐殺が続いた、歴史というのは本当に複雑です。

      1つ1つの話がそのまま長編映画や小説の題材になりそうな
      ほど中身の濃い内容でした。歴史に名前を残す人間の人生とい
      うのは本当にドラマチックです。そして複雑な家系図も人物を
      とりあげて説明してあるとすんなり頭に入ります。物語として
      もおもしろく、世界史の勉強にもとても役立つ本でした。



      ステラ * 読書 * 09:54 * comments(0) * trackbacks(1) * -

      スポンサーサイト

      0
        スポンサードリンク * - * 09:54 * - * - * -

        コメント

        コメントする









        トラックバック

        電子家族図

        なるほど、よく考えると面白いです。今回はありきたりに思える家系図を作るというサイトを...
        From 暇人短剣符 @ 2009/01/11 7:36 PM
        このページの先頭へ