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    海のカテドラル(3)

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      JUGEMテーマ:読書

      「海のカテドラル」上巻の終わりの方から下巻の最初の方
      まで読みました。この本は本当に私にとってひっかかるキー
      ワードや出来事が次々出てきます。

      まず、アルナウが子供の時に友達になり兄弟のように育った
      ジュアンが修道士になります。彼は初めフランシスコ会に
      入りましたが、もっと学問を追求したいという理由からドミ
      ニコ会に入り直しました。ドミニコ会と言えばすぐサヴォナ
      ローラの名前が浮かびました。彼は結局対立するフランシスコ
      会からの「火の試練」(本当に神に選ばれた者なら火の上を
      歩いても火傷しないだろうというもの)の挑戦を受け、うまく
      対処できなかったことから市民の信頼を失い、異端者として
      処刑されてしまいます。サヴォナローラはこの小説よりもっと
      後の時代ですが、同じキリスト教の修道会でも求める方向が違
      えば対立し、争うようです。ドミニコ会とフランシスコ会の大
      きな違いは学問をどう位置付けるかで、ドミニコ会の方は学問
      と信仰は対立せず学問を追求するので後にジョルダーノ・ブル
      ーノやカンパネッラのような思想家も出しています。論理的な
      思考というのは強烈な宗教改革者や思想家を生み出す土壌にな
      りますが、同時に学問的にはっきりさせるほど他の説を許さな
      くなってしまうのか、ドミニコ会は異端審問に積極的に関わって
      います。

      大人になったアルナウは仕事も順調、美しく献身的な女性と結婚
      しますが、昔好きだった女の人とも関係を持ってしまい、不倫の
      泥沼にはまります。当時不倫した女性への罰は過酷で、だからこそ
      相手の女性もしつこく迫ったり関係をバラすと脅したり情緒不安定
      悩んだ末にアルナウは全てを清算しようと死ぬ覚悟で戦場へ向かい
      ます。このあたりは今も昔も変わらなく不倫の泥沼でやけを起こす
      というところは一緒、気の毒なのは何も知らずに尽くしている妻で
      男は本当に身勝手だと思いました。そして戦場の近くで、彼は思い
      がけずそうとは知らずに生き別れになっていた母と再会します。こ
      の再開の場面などこれだけで小説が1つ書けそうなほど濃いテーマ
      なのにあっさり終わり、不倫問題もうまく解決して彼はバルセロナ
      にもどります。

      そして下巻、バルセロナでペストがはやり、アルナウの身近な人間も
      次々に死んでしまいます。正体のわからない不安で街は飢饉の時以上
      にパニック状態になり、ユダヤ人が井戸に毒を入れたというデマが
      広がります。それまでバルセロナでは商業を営むユダヤ人が税金を
      たくさん納め王や貴族のための珍しい品物で商売していたため共存し
      ていましたが、市民の憎しみの矛先が向けられたためユダヤ人街で
      暴動が起き多数の人が殺されます。危機的な状況で他の民族や異教徒
      を攻撃する、これは本当に怖ろしいことです。主人公はこのような
      状況で偶然ユダヤ人の子供を助けたことから、今度はユダヤ人と深く
      関わるようになります。

      遠い国、遠い昔の時代を舞台にしているのに、すぐ近くで起きたこと
      のように心が揺さぶられ、主人公の行動に反応してしまう(共感では
      なく反発する部分もかなりある)それこそが小説を読む意味で目的な
      のだと思いました。
      ステラ * 読書 * 11:32 * comments(0) * trackbacks(0) * -

      海のカテドラル(2)

      0
        JUGEMテーマ:読書

        「海のカテドラル」上巻の3分の2くらいまで読み終わり
        ました。前回も書きましたが、これは本当に繊細な女性に
        はお勧めできない本です。女の人への暴力や悲惨な状況が
        ものすごくリアルに書かれていて、私も若い時に読んだら
        途中で諦めたかトラウマになっていたと思います。

        主人公バルナットが領主の横暴から逃れて自分の子供を守る
        ために都市であるバルセロナに来て、息子のアルナウはすく
        すくと育ち、ジュアンという年下の友達もできます。この2人
        の母親はいずれもどちらが酷いかと比べられないくらい不幸
        で悲惨な状況に置かれています。そしてその不幸の原因やき
        っかけが、理由があるにしろ2人の子の父親、つまり夫にある
        というところにやりきれなさを感じました。自分の妻をこうし
        た状況に置いて平然としていられる、当時の結婚は本当に愛な
        ど関係なく家の状況で決められ、何事もなく無事生活が続けば
        それで十分だったのかなと思ってしまいました。使用人に対す
        る扱いも酷いし、そうした扱いを受けた奴隷に同情するよりも
        それを見た息子がショックを受けているから血の跡を消して、
        息子が立ち直ってくれればそれでいいとする父親の態度にも腹
        が立ちました。

        そして夫が工房を持って金持ちになった女性は幸せかというと
        そうでもなく、妻の死で葬儀の時はたくさんの泣き女(葬儀の
        時大げさに泣いてお金をもらう)を雇って盛大な儀式を行うけ
        ど、そのすぐ後に今度はもっと身分の高い貴族の娘と結婚して
        しまいます。愛とか女性の権利なんてものが全く尊重されてな
        い14世紀のスペインの生活がこれでもかというほどリアルに
        書かれていて、強い反発を感じるのですが、それでもどんどん
        読める本です。

        タイトルにもなっている「海のカテドラル」聖母マリアのため
        の大聖堂を作り変えるところを2人の少年アルナウとジュアン
        は夢中になって見て、特にアルナウは聖母マリアを自分の母の
        ように思い信仰を深めていくのですが、自分の母の不幸はなか
        ったことにして信仰に入っていくのかと(父親がそれを望んで
        いる)なんかすごくいやな気分になりました。それぞれの家で
        女性蔑視で母や妻が多かれ少なかれ酷い状況に置かれているのに
        マリア様への信仰心は深い、この矛盾が許せなかったです
        れはただ小説の内容が許せないというのではなく、もっと深い
        ところで自分の感情が揺さぶられた怒りでもありました。

        そして都市の生活は自由に見えながらも飢饉には弱いという欠点
        がありました。一度周囲の農村で飢饉があり政治的な理由で交易
        がうまくいかなければ、都市の住民の大部分はすぐ飢えに苦しむ
        ことになります。それでも囚人のための食料は規則により最初に
        きちんと確保されるという大きな矛盾があります。そして暴動が
        起き、首謀者はろくな裁判もなくすぐに処刑されてしまいます。
        死と暴力が身近にある時代、人々の感覚も麻痺してちょっとのこ
        とでは何も感じなくなっていたのかもしれません。ただそのような
        時代、それでも人間は絶望して生きるのをやめたのではなく、そ
        れでも生きて子供を産み命をつないできた、どんなに悲惨で不幸
        に見える人生でもそれを全うした強さがあった、そんなことも感じ
        ました。今の時代は自由もあるし女性の人権も守られている、でも
        逆に愛というものを過大に評価し過ぎて理想的な愛や結婚生活、幸
        せなどの情報がこれでもかと流れ、それが手に入らないことに絶望
        しているような気もします。
         
        ステラ * 読書 * 10:01 * comments(0) * trackbacks(0) * -

        海のカテドラル(1)

        0
          JUGEMテーマ:読書

          「海のカテドラル」イルデフォンソ・ファルコネス著
          木村裕美訳、という本を読み始めました。この本は絶対
          あなたの好みに合うと友人から強く勧められました。
          確かにスペイン、カタルーニャ地方を舞台にした中世、
          非情な領主の元を逃れた農奴の波乱万丈の物語、と私の
          好きな要素が詰まっています。

          ただ読み始めてすぐ領主が当時の風習で結婚したばかりの
          新妻を夫より先に凌辱するという場面が出てきて、衝撃を受
          けました。この本は「海のカテドラル」と一見少女漫画か
          女性向けのロマンス小説に出て来るようなタイトルがつけら
          れていますが、男性作家が書いたもので残酷な場面の表現は
          受け入れがたいものがあり、特に繊細な女性には勧められない
          本だと思いました。

          同じように中世を舞台にして残酷な場面も出て来るのですが
          前に読んだ「女教皇ヨハンナ」などは書いた人が女性だったた
          めかすごく共感しやすかったです。この本を読んだきっかけは
          大好きな俳優デヴィッド・ウェナムが準主役で出演している映画
          があると聞いて(結局日本では公開されず、ドイツやスイスなど
          プロテスタントの国だけで公開され、DVDも英語とドイツ語だ
          けだった)張り切って読んだので、辺境伯の部分はそのまま指輪
          物語のファラミアをイメージしてうっとりしながら読んでいた、
          共感しやすいに決まってます(笑)この辺境伯がまた女性の憧れ
          るツボをおさえていて、小説を読んでいるだけでうっとりできる
          のです。

          なんだか「女教皇ヨハンナ」の紹介のようになってしまいました
          が、「海のカテドラル」を読んで、作者が男性か女性かで目線や
          主人公の描き方が全然違うと思いました。「海のカテドラル」の
          主人公や登場人物にはどうしても共感できない、その考え方や行動
          に拒絶反応を起こしてしまうのです。指輪物語やホビットシリーズ
          は原作も監督も男性なのに本当に女性の感動するツボをわかってい
          ても登場人物を書いたりキャスティングしてくれているので共感し
          やすいのですが、この本はそうではないと感じました。

          主人公は好きなタイプでない、残酷描写に拒絶する、と共感しにくい
          本ですが、それでも物語の力でどんどん読み進めました。そして読んで
          いく中、自分には決定的に欠けている物語を作る力、当時の風習や村の
          風景、人々の行動を描写し伝える力を持っていると感じました。感情的
          に共感はできないけど物語の力に圧倒される、このような本にそれが読
          めるようになった今出会えたということはとても幸運だと思いました。
          ステラ * 読書 * 10:44 * comments(0) * trackbacks(0) * -

          ルネサンスの歴史(1)

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            JUGEMテーマ:読書
             

            「ルネサンスの歴史」モンタネッリ、ジェルヴァーゾ著

            を読み始めました。この本はかなり前に購入していて

            下巻の興味のある人物の部分だけ読んでみたのです

            が、そのあまりの毒舌にショックを受け(尊敬していた

            人物がこういう人だったのといろいろ暴露されていて)

            そのまま本棚の奥にしまっていました。それが最近に

            なって部屋の整理をした時に前面に出てきて、手に取

            って数ページ読んだところけっこう面白く、今なら大丈夫

            かもとあらためて上巻から読み始めました。

             

            上巻はルネサンス前のイタリアの情勢について人物の

            エピソードを混ぜながら説明しているのですが、やっぱ

            りかなりの毒舌(笑)有名人物についても情け容赦なく

            書かれています。さらに「文明」という後は「都市」から

            派生して、ローマやアテナイは都市だから文明があった

            けどマケドニアには都市がなく農耕牧畜の生活しかなか

            ったから文明はなくただ軍隊的な生活様式があっただけ

            だ、なんて書かれています。アレキサンダーのファンとし

            ては許せない発言です(笑)その他にも人文主義者は

            古典にとりつかれた本の虫とか、それまですごくいい

            イメージだった「ヒューマニズム」という言葉もガラガラと

            音をたてて崩れてしまいました。

             

            そのように私の今までのルネサンス期に対するイメージ

            をことごとく覆すようなことが次々書かれているのですが、

            そう言われてみればそうかもしれないと否定できないこと

            ばかりです。イタリアは都市や小国が覇権を争って統一

            国家にならなかった、だからこそ文化や芸術が生まれた

            というのです。小国の争いや都市での権力争いは負けた

            相手に対してびっくりするほど残酷で、ヒューマニズムと

            言いながら人権や人の命の価値などは無視された時代

            だったのだとあらためて思いました。そしてイタリアが統一

            国家にならなかったのは教皇領があったから、という記述

            にも衝撃を受けました。権力が集中しないように足のひっぱ

            りあいが次々と行われ、教皇の中にはそこまでやるの、と

            いうようなメチャクチャな人がいたり、皇帝派と教皇派に分

            かれて争っていたけど教皇派と言っても純粋にキリスト教徒

            として深い信仰心があって教皇を支持しようとしたわけで

            はなく、皇帝派に反対したいからただ教皇派と名乗っただ

            け、などなど、とにかく衝撃を受けることばかりです。

             

            でそれでも我慢して読んでいるうちに(笑)この時代の雰囲気

            や価値観などが浮かび上がってきました。混沌としたメチャク

            チャな時代、争いが続いて統一国家がないからこそ、芸術が

            生まれ、思想が花開いたのではないかと思うようになりまし

            た。ルネサンス期に生きた歴史に名前を残すような芸術家や

            思想家はいずれも強烈な個性を持っています。その個性ゆえ

            に大変な人生を歩んだ人も多いのですが、混沌とした時代に

            個性を出して生きられたのはある意味すごく幸せな(ぬるま湯

            につかって何も考えずに人生が終わるより)ことではないかと

            思いました。

            ステラ * 読書 * 10:43 * comments(0) * trackbacks(0) * -

            フリアンとミケル

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              JUGEMテーマ:読書

              「フリアンとミケル」この2人は「風の影」という小説の
              登場人物です。主役やメインキャラクターではなく、
              小説に登場する小説の作者とその友人なのですが、
              私にとっては強い印象があります。

              以下多少小説のネタバレがありますし、あくまでも自分
              の個人的な感想であることを了承して読んでください。

              フリアンとミケルはともに母親が外国人の子でした。フリ
              アンの母はフランス人、ミケルの母はドイツ人でいずれも
              スペイン人ではありません。フリアンの母は結婚相手とは
              別の人の子を身ごもってしまい、義理の父親となる帽子屋
              は血のつながらない子をなかなか認められず母と子に虐待
              に近いことをします。ミケルは金持ちの子でしたが、母親が
              不自然な死に方をしていて、異母兄弟の間で孤独でした。

              フリアンはある金持ちの援助を受けて金持ちの子しか入れ
              ない学園に転校、そこでミケルと出会います。強い孤独と
              生まれながらの賢さと個性を持った2人はたちまち意気投合
              して親友となります。ミケルは精神分析、フリアンは物語を書く
              ことに熱中しました。

              私はこの2人の友情がとても好きです。この2人は大人にな
              った時、フリアンは許されぬ相手を好きになり、フリアンを愛し
              た女性をミケルが愛してと複雑な三角関係になります。本来
              不倫とかごちゃごちゃした恋愛関係が出てくる小説はすごく苦手
              なのですが、この本はなぜか素直に読めました。そして血の繋が
              らない子フリアンに対して虐待まがいのことをしていた帽子屋が
              十数年後に戻ってきたフリアンを必死にかばい初恋の人と結ばれ
              ように手助けする姿に深く感動しました。帽子屋の男は愛する妻
              が別の男の子を産んだことに深く傷つき酷い仕打ちをしますが、
              それでもその子を助けようとする(その時フランス人の妻は家を
              出ていた)これこそ無償の愛だと思ったのです。この本を若い時
              に読んだならば、おそらくこの帽子屋に共感し感動するということ
              はなかったと思います。

              ミケルの愛は本当は親友であるフリアンが好きだから彼を愛した
              女性を好きになるというすごくひねくれたものです。でもこの屈折
              した愛に私はすごく感動しました。私の愛の基準、小説を読んで
              感動するかどうかはこの小説がベースになっていると思いました。

               
              ステラ * 読書 * 10:11 * comments(0) * trackbacks(0) * -

              「風の影」に描かれた悪

              0
                続けてスペイン人作家の小説について思うことです。
                「風の影」という小説の中、Fというものすごく残忍な
                悪人が出てきます。主人公の少年DはKという謎の
                作家が書いた小説に魅せられKについて調べていき
                ます。

                作家Kは少年時代にある金持ちの援助を受けて途中
                から金持ちの子ばかりがあつまる学校に転入します。
                そこには特別枠で入った守衛の息子Fもいました。F
                の家は貧乏なだけでなく自分は上流婦人、お姫様だと
                信じているズレた母親と情けない父親がいました。F
                は学校で友達もいなく孤独でしたが、転入生Kはそん
                なFにもやさしく声をかけ、彼を自分がすぐに仲良くなっ
                たグループに誘います。グループの中でも特にKと
                気があい、フロイトに夢中になっていた少年MはFの
                ことも冷静に分析して彼は危険だとKに警告しますが
                彼は気にしません。やがてFは密かに好きになってい
                た女の子に振られ、グループの仲間にも侮辱されると
                いうことがあって、友人達、特に最初に親切にしてくれ
                たKに激しい憎悪を抱くようになります。

                Fはやがて独裁政権の中で頭角をあらわします。屈折
                した者が、異常な政権の中では逆に力を持ってしまう、
                それは小説の中だけでなく歴史上の人物でもたくさんい
                ると思います。個人的な屈折した感情を持つ者が権力を
                持ってしまい、周りの人間もおなじような社会への不満
                を抱いていたために熱狂的に支持してしまう、その結果は
                本当に怖ろしいことになっています。
                ステラ * 読書 * 07:52 * comments(0) * trackbacks(0) * -

                3つの小説

                0
                  JUGEMテーマ:読書

                  前にスペイン人の作家ミゲル・デリーベスの小説を3つ
                  読みました。そのどれもが自分にとって深い意味があった
                  のであらためてここで紹介します。読んだ順番としては
                  「異端者」「糸杉の影は長い」「ネズミ」ですが作者が発表
                  した順で書きます。またこの3つの小説は自分の過去世と
                  も深い関わりのあるものでした。

                  「糸杉の影は長い」は作者の初めての長編小説です。孤独
                  な少年の友情や恋の物語で、それぞれの場面の風景描写
                  も素晴らしくまたストーリーも巧みなので、この作者の小説を
                  初めて読むという人にまずお勧めしたい作品です。墓地の
                  周りに植えられた糸杉の場面は忘れがたいものです。

                  「ネズミ」は前の2作に感動したのでこの作者とは相性いいだろ
                  うと読んでみたのですが、まったく面白くなかったです(笑)
                  ネズミをとって暮らしている貧しい親子の話で、結末も非常に
                  暗い、何が言いたいのかさっぱりわからずイライラして読みま
                  した。ただこの本はスペインが独裁政権だった時に出版され
                  たものなので、もしかしたら深い意味や批判の気持ちがこめ
                  られているのかもしれません。検閲にひっかからないように
                  細心の注意を払いながら・・・・そしてこの本のタイトルも私の
                  過去世と深い関わりがありました。

                  そして作者が晩年に書いた最後の作品が「異端者」です。これ
                  は16世紀のスペインで実際にあったプロテスタントへの迫害
                  について書かれています。タイトルから想像できると思いますが
                  結末は非常に暗く救いはありません。でもこれは作者がどうし
                  ても書きたかったテーマ、自分の作家人生全てを捧げて書こうと
                  した内容なので、迫力が違います。もし歴史の事実をありのまま
                  に書いたら、迫害した側のカトリックの人は反発を覚えるかもし
                  れないし、宗教に関心のない人はあまり興味をもたないでしょう。
                  でも小説という形で架空の人物の人生を書くことで、主人公の
                  境遇(金持ちの家に生まれながらも、生まれてすぐ母親を亡くし
                  て乳母に育てられ、父親からは全く愛されず結婚生活も不幸な
                  形で終わった)に共感し主人公と同じ気持ちになって迫害につい
                  て知ることができる、小説というものの大きな可能性と力を実感
                  しました。

                  今表現の自由についていろいろ言われています。表現というの
                  は政府が規制するものではなく自由が守られるべきものですが
                  表現者としてそれがどういう意味を持つのか、どういう方法を用い
                  たら一番伝えたい人に伝わるのか、それが時代が変わっても
                  伝えられるべき内容なのか、考えるべきだと思いました。
                  ステラ * 読書 * 11:13 * comments(0) * trackbacks(0) * -

                  物語イタリアの歴史

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                    JUGEMテーマ:読書
                     

                    これは本のタイトルをつけてありますが、かなり偏った自己流の
                    解釈や感想が含まれています。

                     

                    この本はかなり前に購入して一通り読んでいたのですが、過去世
                    を知り、宗教に関心を持った今読んでみると、今まで特に気にしな
                    かった部分に強くひっかかりました。

                     

                    第1話の「皇女ガラ・プラキディアの物語」彼女はローマ帝国が崩壊
                    していく時代にテオドシウス帝の皇女として生まれました。西ゴート
                    軍によってローマが陥落した時に捕虜として連れて行かれ、思いが
                    けずゴート軍の王アラリックの弟アタウルフと恋に落ちて結婚するな
                    ど波乱の人生を送った女性です。この少し前混乱した時代を救い国
                    を立てなおすためにはキリスト教徒の力を借りるしかないとそれまで
                    迫害されていたキリスト教は国教となっていました。彼女の生きた
                    時代ローマ帝国は分裂して西ローマ帝国は滅びます。異民族の侵略が
                    続き宮廷内の陰謀が続く時代、キリスト教が唯一の救いとなると信じ
                    られて、次々と公会議が開かれ、異端とされた宗派は弾圧されていき
                    ます。


                     

                    キリスト教が国教となった時、たくさんの宗派があってその中に
                    はキリストは優れた預言者であるけど神そのものではないと説く
                    ユリウス派もありました。異端とされた宗派は弾圧される、その
                    一番の目的は、それぞれの宗派が正しいかどうかよりも、こちら
                    を選んだ方が宗教として統一が保たれ人々を支配しやすい、そん
                    な理由があったかもしれません。そして一度一つの宗派、一つの
                    考えが正統として公会議で決まればそれは絶対的なものとなり、
                    この考えに疑問を持つ者は異端者として殺されるということが長く
                    続きます。合理的に考えればこれはおかしいと考える者が出てき
                    ても当然、それなのに昔その時代の事情で決まったかもしれない
                    教義が絶対的に正しいとして違う意見を言う者を徹底的に抹殺す
                    るというやり方に強い怒りを感じました。

                    第2話の「女伯マティルデの物語」には有名な「カノッサの屈辱」
                    皇帝ハインリヒ4世と教皇グレゴリウス7世の対決について詳し
                    く書かれています。この教皇は皇帝と対決しただけでなく、教会
                    内の改革も徹底敵にやっていました。それまでも聖職者は妻帯し
                    てはいけないと決まりはあったけど、修道院長や高位聖職者が結婚
                    して子供を持ち、貴族のような暮らしをしてその地位を子供に
                    継がせるのが普通になっていたのを結婚は一切禁止でどんな例
                    外も許さない、聖職者を続けるかその地位を捨てて妻子を取る
                    か迫りました。

                     

                    教皇グレゴリウスの徹底的な改革後、聖職者は妻帯が禁止され
                    ました。でも時代が変わってスネサンス期になると、表向きは
                    独身でも子供がいて甥と称している聖職者はたくさんいました
                    (チェーザレの父アレクサンデル6世など)徹底的に禁止して
                    いるからこそ裏では乱れに乱れていろいろなことが起きています。
                    それがいいのか悪いのか・・

                     

                    ヨーロッパの歴史はキリスト教抜きには語れません。でもキリスト教
                    についてこう考えるのが当たり前と思っていたことが、その時代の支
                    配者の都合や強力な力や使命感を持つ人によって作られ改革が行われ
                    たということがわかると、今までキリスト教カトリックはこういう宗
                    教であると教えられ思ってきたことが根本から揺らぎ覆されるように
                    も感じます。

                    ステラ * 読書 * 10:35 * comments(0) * trackbacks(0) * -

                    サンティアゴ巡礼へ行こう

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                      JUGEMテーマ:読書

                      「サンティアゴ巡礼へ行こう」という本を読みました。

                      スペイン北部の巡礼の道というのはもともとかなり興味が
                      ありました。深い信仰心はないけれど、スペインの古い城
                      や教会、修道院などはぜひ見てみたいし、荒野にいる羊
                      飼いというのが不思議と心魅かれる原風景でした。

                      本を読んだらその他にも地方ごとのおいしいワインや郷土
                      料理があるそうで、さらにペドロ王やチェーザレなど好きな
                      漫画の主人公が戦った場所なども見られるそうで、これは
                      もうファンにとってはたまりません。いつかこの巡礼の道を
                      歩いてみようと気分が思いっきり高まりました。

                      ただ、いろいろな条件を考えると今すぐ長期の旅に出るのは
                      難しそう、10年くらいの計画できっちりいろいろ調べ、スペイ
                      ン語もマスターしてから行こうと目標を定めました。
                      ステラ * 読書 * 15:55 * comments(0) * trackbacks(0) * -

                      ある神学者の話

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                        JUGEMテーマ:読書

                        数年前、たまたま読んでいた本の中に出てきた人物が気になって
                        調べ、「フランス・ルネサンスの人々」渡辺一夫著という本に詳しく
                        出ていると知って購入して読みました。

                        ある神学者の話として紹介されているその人は1511年の9月29日
                        に生まれています。最も昔の人なので生まれた日ははっきりはわか
                        っていないのですが・・・

                        彼は医者、解剖学者や地理学者としても名前を残すような研究をして
                        いますが、三位一体説を否定したということでカトリック、プロテスタン
                        トの両方から睨まれ、異端者として処刑されています。

                        その説がどのようなものなのか今の私には詳しく説明することはでき
                        ませんが、宗教改革の混乱の時代にそのどちらからも睨まれるような
                        説を唱え本を出していた人がいたということに大きな衝撃を受け、それ
                        以来ずっと気になっている人物の1人です。今日9月29日が誕生日
                        ということで、このブログに少しだけ書きました。
                        ステラ * 読書 * 11:26 * comments(2) * trackbacks(0) * -
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